溺愛されてもわからない!


「退院おめでとう」

「ありがとう」

「家まで送ろうか?」

「田中さんが迎えに来てくれてるから」

「そっか」

そんな会話をしながら
ゆっくりふたりで歩き出す。

「一夜に自分の気持ちを言えよ」

「もう遅いよ」

「それはわからない」

「ううん。遅い」

「どうした?田舎の元気なタヌキちゃん。突っ走らないのは、すみれじゃない」

強い口調で怒ったように言われ
思わず顔を見上げたら

「突っ走るのが、すみれだろ」

思いっきり言い切る夢君。

「後悔すんなよ。結果ダメなら、俺に戻れ」

私のほっぺたをギューっと引っ張り「変な顔」って笑い、「頑張れ!落ち込む前に行動しろ」って走って行ってしまった。

夢君
ありがとう。

夢君の励まし
きっちり受け取ったよ。

お父さん的に言うと
ケジメつけろ!ってヤツだよね。

イジイジウロウロする私に『喝!』って気合だね。

ありがとう。

もう一度
夢君の背中に感謝して
渡せなかったプレゼントが入ったカバンを、ギュッと強くつかむ。

空は青い。

冬の冷たい風が吹いてるけど
空は青い

だから
前向きに頑張ろう。