溺愛されてもわからない!


逃げなきゃ!
大きな声を出さなきゃ!

でも捕まれた手はギリギリと痛いぐらいに強く、どうしたものか声も出ない。
叫んで助けを呼ばなきゃいけないのに

声が出ない。

『本当に怖い時は声が出ない』
夢君だ。夢君がそう言ってた。

「可愛いじゃん」

「脅して恥ずかしい写真撮るだけって言われたけどさー」

「ヤッちゃおうぜ、それ撮ればいいんだろ」

2人の男が前後の道をふさぐ
ニヤニヤ笑いが怖い。本当に怖い。
誰か助けて。

明るい通りを目線で追って
どうにか逃げようとしていると

口にタオルをグイグイ詰め込まれ、お腹を殴られてしまい痛くて身体を沈めると、待ってたようにグルグルと太いガムテープのようなものに巻かれて身体が浮き、乱暴にバンの後ろに投げられた。

誘拐された?

古ぼけたオイルの臭い匂いに吐きそうなのか
さっき殴られたお腹が痛くて吐きそうなのか
精神的にパニックで吐きそうなのか

車が発進してシートが揺れる。

『すみれは無防備だから心配』
『人を信用しすぎないで、自分で自分の身を守ってほしい』
『悪いヤツも沢山いる』

『ここは田舎と違うからさ、自分で考えて行動しないとダメだよ。世の中みんないい人じゃないから』

夢君と一夜に言われてた。

どうしよう

どうなるんだろう……。