溺愛されてもわからない!


「俺はみとめないからっ!」

そして
泣きながら「たなかー」って叫んで走り去る幼稚園児。

追いかけようとする和彦さんをお母さんが目で止める。

組長も惚れてる女に弱いのね。

「急にできた綺麗なお母さんに戸惑ってるだけさ。大丈夫」

和彦さんが言うセリフを一夜が言うとは。
こいつは女性関係では父親より上だぞ。

そして私に微笑むけど
私はムシしてプンと顔を横にした。

人の初めてのキスを軽く奪う男は許さんぞ!

「すみれちゃんの学校ってどーなってんの?」
無視に負けず
一夜は私に聞いてくる。

学校。
そうだ学校。

あっちの学校で編入試験を受けて
晴れて私は転校できるはず。
できれば今日から行きたい。

家にいて、和彦さんとお母さんのイチャイチャを見るのもなんだし

私が邪魔だろう。