溺愛されてもわからない!


口をパクパク
金魚になって一夜を見ると
一夜は彩里ちゃんの肩を優しく触って「頭を上げて」と、彼女の耳元でささやいた。

接近しすぎだよ。
チクリ心臓を刺された気分。

「用事があるならいいって言ったのに。それに彩里さんは悪くないだろ、文句があるなら僕に言えばいい」

チクリじゃなくて
グサッと刺された気分。

「私は何も……」

「ごめんなさい。すみれちゃん!」

私の言葉より
彩里ちゃんの声が大きく一夜の心に届く。

ストレートの黒髪が綺麗。
ふるえるまつ毛がいじらしい。

守ってあげたくなるような女の子
私とは正反対な

一夜の婚約者。

「もういいよ。付き合わせてごめん」

一夜は私の意見も聞かず
しっかり私を拒否。

その目を見ればわかる。

私が彩里ちゃんにイジワルしてるって思ってる。

もう……いいよ。

「わかった」

私はふたりの顔を見ないで
乱暴に立ち上がり部屋を出た。

もう知らない。

ドスンドスンと音を立てて下に行くと
お母さんと和彦さんと月夜が私に集中。

「どんな感じ?」
お母さんに聞かれて「普通」って返事。

いじわるのウソツキって言ってやりたい。