こんな普通の話を電話じゃなくて
直接会って話したかったんだ。
昨日はそれを楽しみにしてたから
「バイト忙しいんでしょ」
「テスト期間は休みだけど」
うっ……テスト……。
「20日ぐらいで終わる。俺の後に大学生が入る予定があるんだって」
「そっか。よかった」
「俺がバイトだと寂しい?」
「そりゃ寂しいよ。電話より会って話したいもん。学校でも話しずらいし」
「すみれにそう言われたら嬉しい」
赤い髪が近づいて
耳元でささやかれてしまった。
赤い髪がフワフワ頬をくすぐる。
甘くてくすぐったくてドキドキして
不思議な気分。
「早く堂々と付き合いたい」
「ごめん。絶対話すから」
「すみれが話せなかったら、俺が井口に言うよ」
「それはダメ」
「わかった」
夢君は私から身体を離し
今度は私の手をギュッと握る。
「井口の事だけだよね。問題は」
真面目な低い声に、一瞬胸がギュッとつぶされた気になった。
「あとは問題ないんだよな。一夜は関係ないんだよな」
「夢君」
「ごめん。あーっ!もうどうしても一夜が気になる。ムカつくなあいつー!」
冗談半分で怒ったように
夢君は軽い口調で笑って言うけれど、私の手を握る力は緩まず逆に強くなっている。



