溺愛されてもわからない!


夢君の家に戻ると
おばあさんが熱いお茶と焼きたてのたい焼きを出してくれたので、ふたりでハフハフ言いながら店先のベンチに座り食べる。私が風邪ひいて寝込んでいたので、ゆっくり話もできなかった。月夜がプチ家出して屋根の上に一緒に上がった話もきちんとしてなくて、本当は昨日じっくりする予定だった。だから今、その時の話を身振り手振りで夢君に言うと、本気で驚かれてしまった。いや引いてるし。

「屋根って……ありえない」

「そうかな?」
説教は嫌いなので、しれっと横向いてお茶をすする。熱っ!

「バタフライナイフも使えて、視力は2.5。ポストの上にジャンプして引ったくりをやっつけて、二階の窓から飛び降りた話も聞いた。学校では畑作って、怖い三年のヘソピアス見せてもらって……」

「あれは話の流れだよ。あっちから見せてくれたんだもん」

「すみれは危険」

「ごくごく普通だよ」

「学校の裏でコウモリ探すのが普通か?」

「あそこの倉庫の下にいそうだもん。前の学校の裏にはボロボロいたよ、月夜に見せたかったの。あっちはカブトムシも普通に落ちてたし」

月夜がコウモリを見た事ないって言うから、見せたかったんだよね。

「それにしても屋根は危険」

「でも月夜と仲良くなれた」
そして和彦さんを『お父さん』って呼べた話をきちんとすると、夢君は「おぉーっ」と、感動してくれた。
アイスの屋台には爆笑だったけど。