溺愛されてもわからない!


ゆっくりと
自分の言葉で精一杯
私は夢君に伝える。

夢君はベンチに座り
私の話を聞きながら、一点を見つめていた。

リアクションがないってツラいよね。
相手がどう思ってるのかわからないって
とっても怖い。

あそこの家に来て間もない頃
学校の手続きの件で和彦さんに用事があり、事務所に行った事がある。

その時
和彦さんは高そうな椅子に座って、事務所の人達の話を聞いていた。
事務所の若い人達は必死な顔で和彦さんに訴えてたけど
和彦さんからのリアクションはなく
若い人達は半泣きだった。

私に気が付き田中さんがすぐやって来て、私を別の場所へと移動させ「組長に用がある時は、自分に電話下さい」って言ってくれた。

あの時のお兄さん達と、自分の姿が重なる。

お兄さん達
和彦さんが怖かったろうな

今、私は夢君が怖いもの。

「すみれは井口に遠慮してたって話?」

全て話終えると夢君はそう言い

私は素直にうなずいた。