溺愛されてもわからない!


私はうつむいたまま「うん」って言う。

夢君は何も言わない。
さっきまでの笑顔も消え
何も言わずに遠くを見ている。

空のペットボトルが冷たい風に運ばれて、私達の目の前を転がった。
私は立ち上がってゴミを追いかけそれを捨てると

「すみれのそーゆーとこ好き」って声を出す。

ワケわかんなくて
不思議そうに夢君の顔を見ると
「ゴミを追いかけて自然に捨てるとこ」って言う。

「いや普通だし」

「普通って思うとこが好き」

【好き】ってワードに萌える予定が、夢君の口から出る【好き】は溜め息と同じ雰囲気に感じた。

私は夢君の隣にまた戻り
彼の横顔を覗く

カッコいいイケメンさん。
ちょっと怖く見えるけど
笑った顔は少年のように無邪気で優しい。

心の中も優しい。

「昨日、その言葉を聞けたら素直に嬉しかった」

「ごめんね」

「一夜が居るから言えなかった?」

「違うよ」

「昨日どうして言えなかった?」

「全部話すよ」

もう逃げないもん。