溺愛されてもわからない!


「何?」って聞かれて

金魚のように口をパクパク。
いっこく堂みたいに声が遅れて出ればいいんだけど、私の声は遅れて出ない。

緊張しすぎだろっ!気合入れろすみれ!

「用は何?」

学校で見るようなクールな顔つき

笑った顔が見たいよ。

「特にないなら帰れ」

クルリと背中を向けたから
私は夢君の背中に言う

「好きなの」と……。

夢君は振り返り私の顔を見る。

だから私は「好きです」って大きな声で言う。

これを言う為に来たんだよ。

「すみれ」

「好きなんです」

驚く夢君の声と、ほぼ叫び声のような私の声が冬空の下に広がる。

言葉もなく
ふたりでジッと見合っていたら

「あらーすみれちゃんはそんなにうちのたい焼きが好きなの?で、どっちが好きなの?つぶあん?こしあん?」と、おばあちゃんがお茶を持ってやって来て私に聞くので

私は「こしあん!」って大きな大きな声で返事をし

夢君はこらえきれず
クールな顔を崩して爆笑。

なんか
また
やらかしちゃった気がする。