溺愛されてもわからない!


電話から聞こえてきた
細く弱い泣き声が落ちつき
雫さんは『ごめんね』ってもう一度私に謝った。

『自分の話ばっかり、すみれはどうしたの?何かあった?』

こんな自分がつらいのに
私の事まで心配するなんて
そして私がこれから話そうとする内容は、もっと雫さんを苦しませる。

「雫さんが落ち着いてから話すよ。絶対話すから」

『今でいいよ。こっちは大丈夫』

「いいの。泣かせてごめんね」

『変なすみれ。すみれは悪くないじゃん』
笑ったように言ってくれたけど
私は笑えなかった。

そして会話を終わらせ
私は外に出かける支度をする。

雫さんに言えなかった。
だから先に夢君に言う。

もう季節は冬の入口。
クリスマスソングが街角に流れる。

時間は流れてる。
嫌でも流れる

だから前に進む。

クローゼットから厚手のコートを取り出し
スヌードをグルリと巻いて
一夜の部屋の前に立つ。

「一夜……起きてる?」

寝ててもいいけど
ちょっと話をさせてね。
自己満足の自己宣言だけさせて。