溺愛されてもわからない!


夢君とすれ違いに
田中さんと月夜がクッキーとお茶を運んで来てくれて
すぐ帰ってしまった夢君の後姿を不思議そうに見ていた。

「どうして?」

一夜の声が鋭く私を突き刺す。

「どうして何も言わなかった?」

「言えなかった」

「どうして?」

「一夜に言われていたのに、私はまだ夢君の事を好きな友達に……自分の気持ちを伝えてなかったから」

泣きながらそう言うと
一夜は深いため息をして「自業自得」とそれだけ言い、彼も私に背中を向けて部屋を出る。

夢君と一夜に捨てられた気分。
でも一夜の言う通りだ
自業自得

全部自分が悪い。

せっかく夢君が想いを言ってくれたのに
きっと勇気を出して言ってくれたのに

私は夢君を傷付けた

そして
一夜に見捨てられた。

座り込んで小さく丸くなり
ただ泣くだけの私の傍で、月夜は小さな手で私の背中をさすり

「お姉ちゃん。クッキー美味しいよ」って
泣きそうな声で、何度も何度も繰り返し言っていた。