溺愛されてもわからない!


「すいませんでした。反省してます。もうしません」

ごめんなさいして和彦さんに頭を下げると、和彦さんは次に「ありがとう」って言う。

「すみれさんは月夜の命の恩人です。ありがとう」

偉い極道の組長が今度は私に頭を下げる。
いやいやいや。止めて止めて。おそれ多い。

「月夜は家族を教えてもらったそうです。『赤ちゃんが生まれたら今度はみんなが本当に繋がって、本当の家族になれる』って言ってました」

和彦さん……涙目ですよ。

「あの月夜が成長しました。椿さんをいたわり生まれてくる子を楽しみにしてます。すみれさんのおかげです、ありがとう」

和彦さんの言葉は重く心に伝わる。
私じゃなくて
月夜が偉かったんだよ。ありがとう月夜。
ちょっと大人になったね月夜
だから私も
大人にならなきゃいけないね。

「もう『すみれ』って呼び捨てでいいですよ。家族なんだから敬語もやめて下さい」

うわっ自分で言って照れる。

「そうだね。家族だね」
目を赤くして優しく笑う和彦さん。
今からもっとその目を赤くしてあげましょう。

「休んでるところ悪かったね。何か欲しい物はない?」
席を立ってそう言われたので

私は

「アイスが食べたい。お父さん」

そう言った。