溺愛されてもわからない!


「もう大丈夫だって。みんなと一緒に食べるよ」

部屋食なんてどこぞの高級旅館か。
ベッドに座ったまま
クッションを背中に入れて、しっかり病人してる私。

「椿さんに風邪移ったら困るだろ」

「お母さんでしょ」

「ほら、あーん……」

お腹空いてるけど箸を持たせてくれないので、仕方ないから食べさせてもらう。
めっちゃ恥ずかしい。罰ゲームみたい。

「あとからリンゴ食べる?ヨーグルト?」

「リンゴがいい」
リンゴなら自分で食べれるから。

「あとからうちの和彦さん来るから」

うわっ一気にテンション下がる。
私が弱ってるから
顔を見に来る程度でお説教はもらってなかった。

あぁお説教だ。

「よし完食。えらかったね」
頭をナデナデする一夜。月夜以下ですね私は。

「もういいよ一夜。一夜もずーっと私に付いてて大変じゃん。そっちの学校も試験でしょ?勉強していいよ」

「勉強は学校でしてるから大丈夫」

信じられないけれど
一夜は授業で全てを理解するそうだ。人間じゃないな。成績もトップクラスだから心配ないんだって。顔良くてモテモテで頭もいいなんて……やっぱ人間じゃない。

「すみれちゃんは月曜日からだね。ほら、薬飲んで」

一夜は慣れた手つきで私の口に錠剤を放り、水を飲ませる。

「よし。これで完璧。明日になったらきっと平熱だよ。週末は手取り足取り一緒に勉強しよう」

容赦ないドS王子の家庭教師ぶりを思い出し
背中が冷たくなってきた。
ぶるぶる。