溺愛されてもわからない!


下でみんなが叫んでる。
月夜に続いて
私まで鋭い屋根に上るなんて
想像つかなかった?

ヤル時はヤルよ私!
田舎のタヌキをなめんなよ月夜!

事務所に続く渡り廊下がある屋根があり、そこはなだらかな斜面になっていて、まずそこに足をかける。そして反動をつけて二階の屋根にジャンプ。おしゃれに出っ張ってる部分があったから、そこに足をかけて月夜の元に進む……予定が足を滑らせた。

私より先にお母さんの悲鳴が上がる。

ごめんごめん。
大丈夫大丈夫。
ちょっと滑っただけ。

あー焦った。

二階の屋根って
けっこう高さがあって怖かったりして。

なんとかラストはバブちゃんスタイルでハイハイして月夜の元へ行くと、月夜はブランケットを頭からかぶりながら、真っ赤な目をして私を見ていた。

「よくこんな場所まで上れたね」
月夜の隣に座り
素直にそう聞くと

「すみれバカ。こっちから回った方が楽だったのに」と、私がやってきたルートと別ルートを指さした。

たしかに……そっちの方が楽だった。

「月夜。寒いから降りよう」

「やだ」

こんな時思うのもなんだけど
その『やだ』の言い方、一夜と同じで笑ってしまった。

「笑うなよ」

「ごめん。一夜に似てたからさ、やっぱり兄弟だよね。一夜と月夜はそっくりだね」