そのまま素早く私を壁に押し付け
私の身体の自由を奪う
「こんなの嫌だ」
私は力を込めて顔を動かし
彼のキスから逃れようとするけれど
一夜の力は強く私を逃がさない。
ずるいよ
こんな時にいきなりキスなんて
「私は夢君が好き」
半分泣きながら一夜に言うと
「知ってる」
ってサラッと返された。
「私と一夜は兄妹なんだよ」
「妹なんて一度も思った事ない」
「一夜は今、頭が混乱してるだけだって」
「……自分でもそう思う」
悲しそうな声に顔を上げると
綺麗な顔が曇ってる。
いつもの一夜じゃない。
「目を覚まして。逃げないで月夜を探そう!」
ほぼ叫び声の私に一夜の目が少し蘇る。
「私はあきらめないよ。絶対月夜を探す、自分の手で探す」
月夜の事が心配で一夜は混乱してる。
現実から目をそむけてる。
気持ちはわかるけど……逃げないで探そう。
「手伝って。見つかった後なら、もう何してもいいよ。一夜が私をどうにかしたいなら、どうにかしたらいい。でも今は月夜を探したい」
必死になってそう言うと
やっと一夜の目が覚めたようで
いつもの冷静な顔に戻ってくれた。
「悪かった。今のは忘れて」
「うん。忘れるから、月夜の手掛かりを見つけよう」
月夜だけを考えよう。



