溺愛されてもわからない!


私が寄り添うと
一夜は崩れるように私の身体に抱きついてきた。

「一夜」

「少しだけ……このままでいい?」

私は返事をせず
背の高い一夜の背中に手を回し、ギュッと抱きしめる。

つらいよね。心配だよね。
誘拐するなら私を誘拐すればいいのに
幼稚園児を誘拐するなんて
卑怯だ。

月夜はきっと泣いてる。
不安で泣いてるよ。

兄も姉も泣いてる。
心配で心が叫んでる。

「月夜に何かあったら、うちの組を警察に売る」

「……一夜」

一夜の切羽詰まる声が耳元で聞こえ
私は苦しくなってしまう。

「夢には渡さない」

「えっ?」

「前に泊まりに来た日。夢に宣言した『僕はすみれちゃんが本気で好き』って」

「なんでこんな時言うの?」

「自分でもわからない」

「私と一夜は兄といもう……と……」

激しく抗議する予定が一夜の唇が私の唇に重なり

私は何も言えなくなった。