「月夜にGPS付いてるの?」
田中さんに聞くと無言でうなずく。
表情はクールだけど目が血走ってる。
あ、ごめんなさい。
田中さんも田中さんなりに必死なんだよね。
私、邪魔してるごめん。
一歩下がってうつむく私に、そっと一夜は傍に寄って私の肩を抱く。
身体と心の震えが止まる。
でも一夜だって
実の弟だもん。
不安でたまらないはずだ。
「発信機はこの家の住所で出てる」
タメ息混じりで和彦さんがそう言った。
「小さい発信機ですが、月夜ぼっちゃんのゲーム機と、お気に入りの怪獣に設置してます」
出かける時は必ず持って行くから
それらがこの家にあるという事は、すごいスピードでこの場所から連れて行かれたのだろうか。
「和彦さん。警察に電話しましょう」
お母さんが震える声でそう言うけれど、和彦さんはとてもつらそうに首を横に振る。
きっと警察が来たら
ここぞとばかり
この家と隣の事務所を『月夜を探すという名目』で荒されて、バレては行けない事までバレるから警察には言えないのだろう。
普通の常識で考えてはいけない。



