ある日の夜のお話。
珍しく一夜もそろっていて
私はソファに座ってお勉強。
食後は部屋でひとりでやると眠くなる。
一夜はさりげなく勉強を見てくれて
月夜はお母さんに甘えて一緒にトランプ。
平和すぎる佐藤家。
本当に極道の家なのか。
「……どんな手を使っても見つけろ」
ドスの効いた和彦さんの声。
たしかに間違いない。
和彦さんは電話を切って
お母さんの顔を見る。
お母さんは優しく微笑んでうなずく。
はいはい新婚さん。
部屋でやってよ。
無視しようとしてたら
いきなり和彦さんが「ちょっといいかな」って言うもんだから、私達は手を止めて和彦さんに注目。
「えーっと。みんなに謝らなきゃいけない事がある。冬休みのハワイ旅行なんだけど行けなくなった」
あらっ残念。
人生初の海外だったんだけど残念。
お仕事忙しいのかな。
私と一夜は仕方ないって思ったけど
月夜がお母さんに甘えながらブーブー顔。
「ヤダ。すみれと一緒に行く!俺はすみれとハワイに行くんだもん」
「しょうがないよ月夜。きっと大切なお仕事があるんだよ。また次に行こうよ」
何とか月夜をなだめると
和彦さんが「いや違うんだ」って全力否定。
そしてお母さんの顔を見て
「家族がひとり増えるから」と、すんごく恥ずかしそうに小声で言う。
えーっ!
お母さん妊婦なの?



