溺愛されてもわからない!


「井口もたい焼き食べる?俺達は食べ終わった」

「うん。美味しいよ」
緊張気味で私が言うと
雫さんはいつもの優しい表情に戻り

「いいの。通りがかっただけ。今帰るとこ」

「じゃ待ってて、お持ち帰りであげるわ」

夢君は素早く店に入って行った。

私は雫さんと2人きり

「すみれ」

「はいっ!」
怒られるかな。ぬけがけしてとか言われるかな。
ひきょう者とか言われるかな
あぁもう事実だからいいよ。
はっきり言おう。私も夢君が好きって白状しよう。
チャンスじゃん
いい機会じゃん。
変なヤル気スイッチが入った私に雫さんは

「ありがとう」
恥ずかしそうにそう言った。

へっ?

「私の事を売り込んでくれたんでしょう。ありがとう」

そして急に抱きついてきた。

「すごく嬉しかった。ありがとう。やっぱりすみれに言ってよかった」

ガラガラガラとヤル気スイッチが崩れる。

「こんなに親身になってくれる友達いなかった。ありがとう」

感謝されればされるほど

立ち直れなくなる。