いつもなら怒るけど
今日は黙ってしまう。
暗くて静かで落ち着く。
ふわりと一夜のいい香りがする。
「まだ泣ける?」
「もう大丈夫」
「すみれちゃんはいつもそれだよね」
「何が?」
「いつも『大丈夫』って自分に言い聞かせるように僕らに言う」
黙る私。
「たまに大丈夫じゃなくても、いいんじゃない?」
一夜は鋭い。
強い心が折れそう。もう今日は折れてるか。
プイと背中を向ける私。
「相談して」
「大丈夫」
「ほら。また言った」
本当だ。ダメな私。
そっと背中から抱きしめる一夜。
今日は抵抗する元気もないよ。
今日だけは
甘えさせてもらおう。
「すみれちゃんは僕の大切な女の子だよ。その子が泣いてたらこっちも苦しい」
「ありがとう。もう泣なかいから」
「大丈夫じゃなさそうだよね」
抱かれた手に力が入り
そのままクルッと器用に一夜は私の身体を回転させ、自分の胸に抱く。
優しい顔してるけど
強い力。



