溺愛されてもわからない!


やっと気持ちが落ち着き
私は自分から一夜の身体から離れる。

「ごめんね。大きな声を出して」
一夜は何も悪くないのに
怒鳴ってしまった。

「いいんだよ」
一夜の指が私の涙を払う。
その指があまりにも優し過ぎて、また涙が出そう

「もう大丈夫だよ。ごめんね。出かけて下さい」

「今日は行かない」

手に持ったカバンが軽くなる。

「ほら、みんな心配してるよ。ご飯食べよう」

私のカバンを持って一夜は「ただいまー」と居間へ入り、月夜に私のカバンを渡して「すみれの部屋に置いてきて」って言い、月夜は「えーっ」って一度文句を言ったけれど、私の顔を見て素直に「はい」と従った。

ヤバい。泣いた顔がバレる。

「遅かったのね」

「寒かったでしょう。電話くれたら車を回すのに」

お母さんと和彦さんは何か感じたのか私を見てそう言ってくれた。
優しくされると苦しい。

「ごめんなさい。友達と食べてきたの、ご飯いらないから」
小さな声をやっと出して
私はそのまま部屋に行く。

すれ違った月夜の頭をポンポン叩くと
月夜は空気読んでくれて何も言わない。

薄暗い部屋でベッドに横たわって目を閉じる。

どうしよう……これからどうしよう。