溺愛されてもわからない!


すっかり目が覚めてしまった。

『すみれ元気?大丈夫?』
のほほんとしたお母さんの声。

「うん大丈夫。今日は髪を切ってきたけど、どうしようすんごく高くて一夜に払ってもらった。服も買ってもらったよ」

『一夜君が田中さんに連絡してくれて、田中さんから報告受けたわ。もう和彦さんの耳にも入ってる。すみれが可愛くなったって報告もらってね、和彦さんも喜んでたの』

素早いな一夜。

『明日の夕方には帰るからね』

「うん。了解。そんで悪いけどもう一度さ月夜に代わってくれる?」

『いいわよ。月夜くーん。すみれが話したいって』

お母さんの声が遠ざかり
『もしもし』って幼稚園児の上からの声が届く。

「ちょっと月夜。あんた昨日まで『ツバキ』ってお母さんの事を呼び捨てにしてたくせに、『お母さん』って呼ぶようになったの?」

どーしちゃったんだよ。何があったんだよ。
おねーさんに教えろよ!ついでに参考にさせろよ……って、幼稚園児の意見を参考にしようとする自分が情けない。

『うーんとね』

「うんうん」

『大杉のおじさんがね、ツバキじゃなくてお母さんって呼びなさいって言うの。あと他の親分さん達にも言われたから』

そうなのか
極道のお偉いさん達に月夜は言われたんだ。

『いつもなら、るっせーなバカーって言うんだけどさ』

言うのかよ。お前よく命あるなぁ。

『田中もお母さんって呼んだら、きっとよろこぶって言ったから、言ったんだ。そしたらねー。すごくよろこんだ』

モジモジした声が幼稚園児してる。