「ねえ、ふみ兄、もう失恋乗り越えた?」

「……はぁ?もうその話、忘れていいから」

「わたしね、松川さんに聞いてきたの」

「またお前は余計なこと言ったのか」


松川さんが教えてくれた、必殺技の話をふみ兄にしました。


「だからこれからは、一番最後だけ笑顔になろうと思ったの」


するとふみ兄は言いました。


「お助けマンの必殺技は奥の手ではないんだよ。

だってお助けマンは敵を倒すヒーローではないからね。

大好きな人が笑顔になるために、お助けマンはいるんだよ。

だから必殺技はどんどん使ってもいいの」


ふみ兄はいつものように、わたしの両側のほっぺを片手ではさみました。


「ありがとう、名菜。おかけで失恋を早めに乗り越えられることができそうだよ」


ふみ兄はほんとうに落ち込むことはなくなったのです。

松川さんの言うことは間違っていなかったのかもしれません。

わたしは松川さんの言う通りにして、ずっと元気でいて、笑っていたからです。