バスの前の方に座る衣里を見る。ぼんやりと窓の外を眺めているようだ。

確かにラインはするけど、亜季のときとはやっぱりテンションが違う。

三往復くらいすると、どちらからともなく『じゃあ、おやすみ』ってなってしまうんだ。


普段、電話はしていない。うちも弟達がいるし、向こうも家族に電話を聞かれたくないって言っていたから。

デートなんてものはあるわけないし。


こんなのって付き合ううちに入るのかな。


そんなことだから、不満はたくさんある。いつまでも恥ずかしがるのは、いい加減にしろって言いたくなる。


だけどそれを口に出すと、衣里を失ってしまう気がして言えずにいるんだ。

衣里に対する気持ちが冷めてきているのかなって思ったけど、こう思っているうちは、やっぱりまだ好きなんだろうな。