どうしようもないほど、悪人で



「おいっ、なんでそんなとこにいるんだよっ!」

流れ星は願いを叶えず、流れ星でなくとも私の願いを叶える人がやってきた。

目を開け、体を起こす前に抱かれる。

「なんだなんだっ!なんで、こんなとこに!誰かに連れ去られたのかよっ、くそ、つめてっ!つか、怪我もかよ!あ゛ー、ちくしょう!こんなことした奴殺しに行きてーけど、まずお前だ!戻るぞ!」

担ごうとする男を制して、その頭に手刀攻撃。

「あ?なんだ、いきなーーいで」

髪を引っ張る。二本抜いた。

「お前どうしたんだよ。乱暴されて、錯乱してんのかっ。俺だって、俺!何もしねーから!落ち着けって!目、赤いし、泣くほど酷いことをされーーって、泣いてんのか、お前が」

ことごとく勘違いをする男の胸元に顔をうずめて、沈黙する。何かを察したのか、騒いでいた男も黙った。

右手で私の頭を撫で、左手で体を抱きしめて。

「なんつーか。すまん、女って、何すりゃあ泣き止むんだ?」

「そばにいて下さい」

「でも、もっと泣いてんじゃねえか」

「この涙は、いいんです」


いいんだ、この涙は。