どうしようもないほど、悪人で


「なんでか、後悔出来ない」

今までの培ってきた自分(物)を全否定されて、より酷な真似をされたのに、これで良かったんだと思ってしまう。

あっという間の日々だった。けど、私の“人生”全てが凝縮されたような日々だった。

後悔出来ない。
優しくされた、愛された。その上で捨てられた。終わり良くない全て駄目。ーーのはずなのに、悪くなかったと思える。

思えるほどに幸せだったんだろう。
泣きも笑いも出きるほど楽しかったんだろう。

「人間らしく、死ぬか」

結局、救われなかった。
当たり前だ。自分は自分にしか救われない。


「でも、愛せたかな」


誰かがいなきゃ出来ないことは出来た。
ならもう、救われたではないか。私がそう思った時点で救いと成った。

「流れ星……」

見たことはない。窓際に吊されていたけど、大衆を楽しませろとずっと下ばかりを見ていたから。

三回願えば叶うらしい。

「寝たい、寝たい、寝たい」

一生、眠り続けたい。流れもしてないものに願った。

言葉ではそう言った。なのに、頭ではあの男が笑っている顔しか出てこない。今まで見たものから、これからあるであろうものまで。


願わくば。

「次は、正しく生まれたかった」


そうして、物ではなく最初から人としてあの男と出会って、見たがっていた笑顔を見せたい。

ゆっくりと衰弱していくのを待つ。
体中の水分が目から出尽くして、体が氷のように重く冷たく、途方もない時間をーー