(椿side)

香帆嬢からの電話を切った後、
俺はさくらの元に向かった。

さくらの家はこの辺でも有名な
大きな屋敷で、
娘に甘い父親と、
お手伝い数名で暮らしている。

呼び鈴を鳴らすと、
お手伝いさんが出てきたので
さくらを呼び出してもらった。

さくらはすぐに出てきた。

「……椿。何の用?」

「お前、香帆嬢に何かやっただろ?
俺の携帯使って。」

「は?何よそれ。
証拠は?」

「……香帆嬢が、俺からのメールに
電話で返してくるようになった。
電話なら直接声が聞けるし、
代わりがきかないからな。」

たじろぐさくら。

「……何をやったんだ?答えろ。」

「……椿の携帯貸してって言った日
メールであいつ呼び出して
忠告しただけよ。
あたしの航希取らないでって。
それだけ。」

「ほんとに、それだけ?」

「…まぁ、ちょっとは汚い言葉も使ったけど。
……あいつ、目障りなのよ。
突然現れて、あたしの航希と仲良くして。
許せないの。」

「……醜い嫉妬だな。
くだらね。」

俺は呆れた。