「……航希?」

「……。」

「……航希ってば!」

「あ、ごめん。」

「……もう。
どうせあの子のこと考えてたんでしょ。」

さくらはぷい、とそっぽを向いて拗ねた。

「……ごめんってば。」

「……わたしだけを見て。
ほかの子に、目移りしたら許さない。」

綺麗な瞳で、見つめられる。

「わかってるよ。」

「ならよろしい。」

さくらは僕の右腕に自分の腕を絡めて
歩き出す。

(……はぁ。)

僕はさくらに振り回されている。

子どもみたいな、独占欲。

でも、嫌とは言えない。