君のいちばんに

その時だった。

「……航希ー!」

前から、女の子が駆けてきた。

そう、いつか
航希くんとふたりで歩いている姿を
見たことがある。

彼女だ。

「さくら。」

「いま、帰り?」

「うん。クラスメイトと帰ってたところ。」

クラスメイト……。

ズキン、と心が痛むのがよくわかる。

そうだよね、航希くんはわたしのこと
なんとも思ってないよね。

彼女の方が、きっと、好きだよね。

実感してしまうと、
途端に悲しい気持ちになる。

「……あ、わたしの家
もうすぐそこだし一人で帰るね。
一緒に帰れて楽しかった。また明日ね。」

精いっぱいの笑顔でそう言うと、
わたしは走って家まで帰った。