君のいちばんに

彼女は僕の過去を知らない。

ふと、椿の言葉が頭に浮かぶ。

『香帆嬢、さくら、楓と柚、
親父、お袋、みんな心配してんだ!』

「……環せんせ」

「ん?」

「謝りたいけど、謝れないんだ
どうしたらいい?」

「どうして?」

「彼女はぼくの過去を知らないよ
いま、教えるのも僕がつらいし嫌だ。
いきなり謝られても
わけがわからないと思う。」

「まぁ、そうだね。
でも、君がちゃんと言いたい時が
来ると思うよ。
理由なんて、その時でいいんじゃないかな?」

環医師は、そう言ってふわっと笑い、
病室を出ていった。