「……もうそろそろ、話してください。
わたし、もう我慢できません。
航希くん、どこにいるんですか?」

「……香帆嬢。
何でもかんでも知ることが、
良いことだとは俺は思わないよ。
ただね、そんなに心配なら
ひとつだけ、答える。」

ひとつだけ……。

「……航希くん、元気なんですか?」

「……元気だよ、身体はね。
ただ、傷が重くて回復するの
結構かかるかも。」

「……なんですか、それ。」

「はい、質問終わり。
俺、帰って受験勉強しなきゃ。
浪人は嫌なんでね。
んじゃ、またね。
香帆嬢、そのお友達。」

サボったくせに、よく言うよ。

わたしは、呆れながら
先輩の後ろ姿を見つめていた。