君のいちばんに

(航希side)

僕が香帆ちゃんと知り合った、春。

僕には彼女がいて、
当たり前だけど彼女しか見えていなかった。

彼女とはもう、生まれた時からそばに居る
いわゆる幼なじみで
少し気の強いところはあるけど
優しくて可愛い女の子だった。

名前を、森岡 さくらと言った。

でもそれでも、香帆ちゃんは
仲良くなりたい、と言った。

こんな女の子みたいな声と顔の僕と。

だってそうでしょう?

僕だって男らしくなりたかったよ。

でもなれなかった。

昔から、女顔と声がコンプレックスで、
性別間違えたんじゃないかとか
色々言われてきた。

もちろんイジメにもあった。

その度助けてくれるのはさくらだ。

だから僕はさくらから離れられない。

きっと、これからも。

香帆ちゃんは
変わってる子だ、と思った。

たいていの人は、
僕に彼女がいるなんてことを知ると
驚いてすぐに去っていくか、諦めるのに。