君のいちばんに

夜が更ける前に俺は返されて、
家に戻って楓と柚に飯を作って食べさせた。

そのあと、血のついた風呂場のタイルを
お湯で洗い流し、掃除をして
弟妹を風呂に入れた。

きゃっきゃ、と無邪気にはしゃぐ
小さな弟妹たち。

きっとこの家で何が起きたかなんて
分かってはいない。

病院には、両親がつきっきりだ。

きっと今頃、航希は目を覚ましているだろう。

さくらには、心配するから言わないでおいた。

香帆嬢にも。

(…どうすっかなぁ、これ。)

数日したら来る、と言ってしまったけれど。

まさかこんなことになるとは
思ってもみなかった。

深いため息。

「兄ちゃん、どうしたのー?」

楓が、おもちゃのロボットを
握ったまま不思議そうに訊いてきた。

「…なんでもないよ。
さ、湯あたりするからもう上がるぞ。」

「はーい!」

俺は弟妹を風呂から上げて、
パジャマを着せて寝かしつけた。