「…わたしの名前は、大崎 香帆(かほ)。
わたし、君と仲良くなりたいの。」

「仲良く…か。
友だちになりたいの?
でも、僕には彼女がいるよ?
それでも、仲良くしたい?」

「…それでも、いいよ。」

嘘を、ついた。

本当は、君の一番になりたかった。

だから近づいたのに。

「わかった。
よろしくね、香帆ちゃん。」

にっこり、彼が笑う。

「よろしくね、
航希(こうき)くん。」

こうして、彼とわたしは友達になった。

痛む心をひた隠して。