4月下旬。

結局わたしは部活を写真部にした。

別に、写真に興味があったわけじゃない。

本当に、なんとなくだ。

「ようこそ、写真部へ。」

暗幕の張られた理科室が部室で、
わたしはそこで部長に迎えられていた。

部長の神谷 椿さんは、
3年生の、カメラマン志望の男の先輩。

わたしはまだ、ピンと来ていなかった。

皆が写真やカメラに向ける情熱を。

そして、そこに彼もいたことに
まだ、気づいていなかった。