しんおん



ヒタヒタと打つ波に呪いをかけた
小さな街に夜を押し入れて閉じ込めた
知らない間に終わった恋をそのまま
宝箱の中に入れて地中に埋めた

この世界は綺麗なものだけでできているのさと
唄うたいは嗤っていた

踏んづけた土の中で
僕の失恋が疼いている

この世界は綺麗なものだけでできているのさ

多分そうなのかも知れない

幸せは溢れていて足りなくなったふりをする
黄色のアヒルが水溜まりを横切って鮮やかな虹

痛がっていた僕の心臓は
月にほどけて溶けていった

眩しい蛍光灯の光が
弱い僕らを刺していた

今宵も空は澄みきって
雲ひとつない真っ暗闇

誰かの呪いが解けぬまま
唄うたいが駆けていく下の人々の叫び
知らない間に終わっていた喜劇をそのまま
覚えのない歌を歌おうか