* 拓、拓……。 案じているような成瀬の声が聞こえる。 「成瀬……」 まだ、生きてる。 そう聞いた時、心が晴れていく感じがした。そこまで彼女が囚われていた彼が死んだら、彼女は問答無用ですぐ今日のように死んでいたかも知れない。もっと強い想いで。 生きていて、良かった。 「植田」 「ん」 「来て」 「え?」 「怖い」 「解った」