わしも、この家に居候して二十年になったが、家族構成もずいぶん変わったものじゃ。

亡くなったお爺さんと元気だが腰の悪いお婆さん、病気知らずの若い妻としっかりものの長女と学生の長男に、愛犬レオの人間五人と犬一匹で住んでおる。

家は小さいが二階建ての一軒屋で、玄関前は門と駐車場と小さな庭があり、お婆さんがきれいな花を育てている。

その反対側の庭には、細い竹がたくさん立てかけられている。

この竹は、大黒柱が趣味で集めているものだ。

亡くなったお爺さんはマメに動く人で、掃除は自分の仕事として、お婆さんにはやらせなかった。

人付き合いも良かったので、近所から材木を貰ってきては物置も手作りしていたのう。

最近、お爺さんが居なくなって年数が経つので、2階のベランダのトタン屋根が傷んで不気味な音がしている。

妻からは、新しいトタンに屋根を交換してくれと言われているようじゃ。

どうするかのう、台風もくるじゃろうし。

玄関から入ったところの床板が歩くたびにバウンドし、危険だ。

また、雨ドイが外れて繋ぎ目から雨が噴水のように出ているようじゃ。

お爺さんが手づくりした小屋などは長持ちしているが、大黒柱が作ったものはすぐに腐るので作り直しばかりしている。

庭の腐葉土や土を入れる棚が、雨に打たれて水分を吸収し、土の重さも加わって曲がってしまっている。

いつか、まとめて治すのだろうか?

お爺さんは掃除好きだったので、ゴキブリやネズミには縁が無い家だったが。

年月も経ったからなのか、この家も傷んできておる。