時間になるとやっぱり、ゴミ袋とテープを片手に持って看護師がやってきた。

「大黒柱さん、今からお風呂に入る準備をするので、左腕を出してください」と看護師が言うので、左腕を出すと、ゴミ袋を肩から指先までグルグル巻きにして、お風呂のお湯が絶対入らないようにしている。

「大変なように見えますけど大丈夫ですか? 痛くないですか?」と看護師。

「大黒柱さん、まだ歩けませんから、車椅子を持ってきますから、それに乗って貰って、お風呂に行きますからね」と、看護師に言われた。

しかし、病室の周りが戦闘状態になっている。

看護師が長靴、マスク、ビニールのエプロンをして2~3人スタンバイしています。

そんなに大事にしなくても大丈夫ですから。一人で洗えますから、何人も一緒に入らなくても大丈夫ですから。

と大黒柱は非常に慌ててしまっている。

でも看護師の目は大黒柱を見てはいない。別な何かが起ころうとしているんだ。大黒柱がベットに繋がれている間にも繰り返し行われていたことなのだろう。

「今、お尻を拭いたから、ベット毎お風呂場に運んで、そこで起こして体を洗おう」と看護師同士が打ち合わせをしていた。

さっきの看護師が、車椅子を持って病室に来た。

「ごめんなさい、遅くなって車椅子を見つけられなくて!」と看護師。車椅子を大黒柱のベットにつけて「車椅子に乗ってください!着替えとタオルは大丈夫ですか?」と言うので、「昨日のうちに用意しました」と大黒柱が言って、お風呂にいくために病室を出た。

看護師が、「お風呂は2箇所あって、シャワー室も1箇所あります」。

「大黒柱さんは、一番奥のお風呂に行きますからゆっくり入ってください。次の予約が入っていないのでね」と看護師。

そうすると「さっきの戦闘状態だったのは別な人のことだったのだ」と、大黒柱は思った。

「着きましたよ!」、「今、扉をあけますから待っててくださいね~」、「車椅子をお風呂場に入れますからまだですよ~」、「はい!どうぞ」、「大丈夫ですか?だめだったら声をかけてくださいね~」、「じゃあ、ドアを閉めますよ!」と、お風呂の中で一人になった。

「さて、どうしようか?」まず、病院の寝間着と紙のパンツを脱ぎ、裸になる。

「おうーっ!」裸になるのも久しぶりだ。