病院に連れてきたら、看護師に「この状態でよく頑張りましたね!」と妻が褒められていた。

さらに、「たいへんだったでしょう?もっと早く連れてくれば良かったのに…」とも言われた。

だけど、お婆さんがこの状態でも妻はまだ自宅で頑張るつもりだったのだから、どこから介護かは日々面倒を見ている人には区別がつかないようだ。

ただ、大変だ、面倒を見ないと…。

と思ってしまうからなのかも知れない。

近くにいる人が「もう、良いよ!良くやったよ」とか言ってやらないと病院に連れて行く決心がつかないようだ。

高齢者の場合の介護と病気の区別も判別し難い。

何か処置をすれば改善の見込みがある時は病気で、処置をしても改善の見込みがつかない又は考えられないのは介護になるのだろうか?

だとすれば、結果として医者に判断を委ねることになっているのではないだろうか?

そんなことも考えながら、車椅子に乗せて運びながら次々に指示された検査を妻と一緒にこなした。

たくさんの検査結果から、診察してもらった。

今回の病状は、横紋筋融解症と多発性脳梗塞というものらしい。

年寄りのうつ病とも同じような症状になるとの説明もあった。

要するに体が動かなくなる病気で、年数の経過とともに動かなくなる病気だそうだ。

言葉としては解ったが、現実的には大黒柱と妻、長女も勤めているし、長男は学生だし…。

すぐには、どうにもできないので「自分のことは自分でできるところまで、機能改善できるまで、リハビリでも何でもお願いします」と妻が言った。

最初の一週間位は症状が安定しないので、ICUの病棟に入院していたが、ほとんどは眠っていて、大黒柱達が見舞いに行った時だけ目を開けて話をしていた。

ただ、リハビリしてどこまで回復するかが問題だという。

一人で、トイレも含めて自分の用事ができればその段階までくれば良いと思った。

リハビリを始めた頃のお婆さんの入院生活は、目の焦点が合っていないし、一点を見たままで動かない。

日によって体調が良くなったり、悪くなったり、猫の目のように変化するのは、気持ちの持ち様なのだろうか。