救急車が遅いので、家の周りの道路には近所の人が増えてきました。

そんな時、大黒柱は道路にでることもできないし、座ったり、横になっているほど具合が悪い訳でもない。

だけど、指を切断したという噂が流れて見に来ている人もいる。

駐車場の脇に立っているしか無くて、どうしたら良いのか困っていた。

近所の人に説明している妻と目が合った。

妻が傍に寄ってきた。

妻は、大黒柱に「痛いー??!」と、聞いているけど、大黒柱は痛みをあまり感じないようですし、「指の根元がボーと熱いだけ」と答えています。

血も動脈が切れた時には吹き出るでしょうけれど、指先の方は静脈なので、ジワーと出てきている程度で、妻が想像している程には痛くはないようですね。

本体から切り離された「僕」は寒いけれど。

救急車が来るまでに、妻はお婆さんを迎えに行き、事の顛末を説明し、留守番をお願いしていました。

この間で15分は経ったけど、まだまだ救急車は来ません。

突然! 妻が一言!「忘れ物は???」「健康保険証と財布」と、自分で言い、答えながら家の中に消えていきました。

大黒柱が「診察券も持ってきてー!」と妻に叫んでいます。

妻は、一応言われたものは持って出てきたようです。

後は、救急車だけです!

この間にも、家の前の道路にはお婆ちゃんの後について来たのか、何事が起きたのか?とご近所の方が増えてきました。

妻は、近所の人に質問され、それにも答えなければならないので忙しいです。

取り囲んでいた近所の人達からも、救急車の到着が遅いことにイライラしてきた人もいて「救急車は、まだかー」という声も聞こえた。

そんなイライラがピークになった時…。

遠くで、サイレンの音が聞こえた!