「…成美 航輝です。去年は1Bでした。宜しくお願いします」



私が待ちわびていた瞬間は一瞬で過ぎ、成美航輝と名乗った彼はすぐに席についてしまう。





(成美…航輝)





私は頭の中で、その名前を何度も、何度も再生する。




成美くん、か…



なんか、ぽいかも?

あんなに考えてたくせに、薄っぺらな感想しか思いつかない。







でも、なんでだろ…




(さっきまでは全然知らない人だったのに、名前を聞いた瞬間から…)

まるで昔から知ってる人だったかの様に、その名前がすんなりと飲み込める。

初めてあった人の名前とその人の印象って違和感あるんだけど…





「なんでだろ…」




だけど成実くんはそんな私を尻目に、隣で頬杖をつきまた窓の外を眺めている。





(不思議な人…)


それから私は視線をそらした