「梓紗〜、知ってる人いないよ〜」
「いなくもないけど…話したことない人ばっかりだね」
私、藤崎 美桜は、柏原第一高等学校に通う二年生。
たった今、友達の梓紗と一緒に新しいクラスに来たばかりです。
にしても…
「梓紗…なんか見られてない?」
「いや気のせいじゃない?」
梓紗目立ってるなぁ。
チラチラこちらを見ている男子は数しれず。
私がいつも行動を共にしている萩原 梓紗は、ルックスはモデル並みに可愛いし、クールビューティって感じなんだけど…
「っとに邪魔くせーな」
性格に難ありっていうか…
口が悪いというか…
中学の時もモテモテだったけど、性格がこれだから付き合うこともなかったし、
数少ない告白してきた男子にも
「あなたに興味無いんで」
「はぁ?」
とか…
とにかく言葉遣いがとてつもなく荒くてめちゃくちゃ怖がられてたっけ。
高校上がってから少しは落ち着いてきたけど、初対面の男子には厳しい梓紗。
「ちょっと美桜、今私の事口が悪いって思ったでしょ!」
「な、なんでわかるの!?」
「そんな顔してた」
エ…エスパー!?
「いいけどね、取り敢えず席確認しよ」
「そだね」
1年生の時知り合った子達とは全員離れて、知ってる人と言えば梓紗だけ…
慣れないクラスに緊張しながらも、一人一人の名簿と出席番号順に席が書いてある紙を確認しに黒板へと歩く。
教室の入口からそこまではせいぜい4m程しか離れていないけど、なぜか歩調はゆっくりで、たどり着くのに倍の時間がかかる。
「ええっと、私の席は…」
「あ、あった」
梓紗はものの2秒程で自分の席を見つけたらしい。出席番号ってことは…
「美桜はあたしの後ろでしょ」
「やっぱりか」
藤崎と萩原ということで、高確率で席が前後の私達。ほぼ知り合いのいないこのクラスでは好都合なんだよね。
「うぇ…人集まってきた。早く行こ」
人ごみが大嫌いな梓紗は、たった今来たばかりの集団にあからさまに嫌そうな顔をして、後ろに向き直る。
「えーでもクラスの人の名前くらい確認し…」
「いーから早く」
「ええー」
梓紗に半分引きづられるようにして、窓側にある自分の席へと歩く。
私と梓紗は、窓側2列の右側、前から4番目と5番目の席に座った。
(えーと私の隣は…)
「あれ?」
周りの席の人が気になっていたからすぐ様確認したのに…そこには誰もいない。隣の席の人はまだ来ていないらしく、カバンもかかっていなかった。
「なかなかいい席ね、日当たりも良くて温かいし」
足を組みながら梓紗が満足げに言う。
「そうだね。それより隣の人早く来ないかな!」
「私は女子がいいな、うるさい男子とかだったら私帰るよ」
「梓紗…」
梓紗らしい答え…
そこまでじゃないけど、私もできれば女の子か話しやすい男の子がいいなぁ…
去年は年中うるさい男子ばっかりだったし、今年は静かに過ごしたい…
そんなこんなで、部活のこと、先生のこと、色々話しているうちに、HRまであと5分になったところだった。
「おはよー、俺相島 龍平っていうんだ。君達なんて名前〜?」
誰こいつ…私と梓紗はきっと同じことを思っただろう。
「何よあんた誰…」
「あ、梓紗ぁ〜せっかく話しかけてくれたんだから、ね?」
早速毒舌を披露するところだった梓紗の言葉を遮り、私がフォローする。
「えっとこの子が萩原 梓紗で、私が藤崎美桜です」
「梓紗ちゃんと美桜ちゃんか!かわいい名前だね」
「はぁ?意味わかんないし」
梓紗だめだってばー!
そんなこと言ったら失礼じゃない!
「あははそうだよねー、あじゃあさ、中学どこだった?」
相島くんもなかなかめげない。
ただのチャラ男じゃないみたい…
「質問ばっかね」
「あ梓紗〜」
ストップストップ!
「…西中よ」
って、あれ?
あんなことを言っておきながら、答えたのは梓紗だった。
「そっか西中かー、俺南中!案外近かったんだね」
相島くんは梓紗に相手にしてもらえて嬉しかったのか、心做しかニヤニヤしているようだった。
「っと、チャイムなりそうだな…俺友達んとこ戻るわ!また後でな2人とも」
「あ、うん」
そう言って突然来て突然いなくなった相島くん。
丁度友達がいたのか、
「おお!お前もB組かー」
なんて言ってるのが聞こえてきたけど、その相手がなんて言ったのかはよくわからなかった。
「何だったのあいつ」
梓紗が溜息混じりにそう言って椅子に座りなおす。
(ほんとなんだったんだろう)
ああいう人って元気過ぎて逆に疲れちゃうんだよね…
「あ」
教室に設備されている時計を見ると午前8時27分を指していた。
もう既に梓紗の隣の席の人は来ていて、静かに本を読んでいる。
どうやら梓紗好みの静かな女の子だったよう。
だけど…
私の隣はまだ空席だった。
全くいつくるんだか…
教室の内の席は、ここを抜いて全部カバンがかかって埋まっているのに。
「いなくもないけど…話したことない人ばっかりだね」
私、藤崎 美桜は、柏原第一高等学校に通う二年生。
たった今、友達の梓紗と一緒に新しいクラスに来たばかりです。
にしても…
「梓紗…なんか見られてない?」
「いや気のせいじゃない?」
梓紗目立ってるなぁ。
チラチラこちらを見ている男子は数しれず。
私がいつも行動を共にしている萩原 梓紗は、ルックスはモデル並みに可愛いし、クールビューティって感じなんだけど…
「っとに邪魔くせーな」
性格に難ありっていうか…
口が悪いというか…
中学の時もモテモテだったけど、性格がこれだから付き合うこともなかったし、
数少ない告白してきた男子にも
「あなたに興味無いんで」
「はぁ?」
とか…
とにかく言葉遣いがとてつもなく荒くてめちゃくちゃ怖がられてたっけ。
高校上がってから少しは落ち着いてきたけど、初対面の男子には厳しい梓紗。
「ちょっと美桜、今私の事口が悪いって思ったでしょ!」
「な、なんでわかるの!?」
「そんな顔してた」
エ…エスパー!?
「いいけどね、取り敢えず席確認しよ」
「そだね」
1年生の時知り合った子達とは全員離れて、知ってる人と言えば梓紗だけ…
慣れないクラスに緊張しながらも、一人一人の名簿と出席番号順に席が書いてある紙を確認しに黒板へと歩く。
教室の入口からそこまではせいぜい4m程しか離れていないけど、なぜか歩調はゆっくりで、たどり着くのに倍の時間がかかる。
「ええっと、私の席は…」
「あ、あった」
梓紗はものの2秒程で自分の席を見つけたらしい。出席番号ってことは…
「美桜はあたしの後ろでしょ」
「やっぱりか」
藤崎と萩原ということで、高確率で席が前後の私達。ほぼ知り合いのいないこのクラスでは好都合なんだよね。
「うぇ…人集まってきた。早く行こ」
人ごみが大嫌いな梓紗は、たった今来たばかりの集団にあからさまに嫌そうな顔をして、後ろに向き直る。
「えーでもクラスの人の名前くらい確認し…」
「いーから早く」
「ええー」
梓紗に半分引きづられるようにして、窓側にある自分の席へと歩く。
私と梓紗は、窓側2列の右側、前から4番目と5番目の席に座った。
(えーと私の隣は…)
「あれ?」
周りの席の人が気になっていたからすぐ様確認したのに…そこには誰もいない。隣の席の人はまだ来ていないらしく、カバンもかかっていなかった。
「なかなかいい席ね、日当たりも良くて温かいし」
足を組みながら梓紗が満足げに言う。
「そうだね。それより隣の人早く来ないかな!」
「私は女子がいいな、うるさい男子とかだったら私帰るよ」
「梓紗…」
梓紗らしい答え…
そこまでじゃないけど、私もできれば女の子か話しやすい男の子がいいなぁ…
去年は年中うるさい男子ばっかりだったし、今年は静かに過ごしたい…
そんなこんなで、部活のこと、先生のこと、色々話しているうちに、HRまであと5分になったところだった。
「おはよー、俺相島 龍平っていうんだ。君達なんて名前〜?」
誰こいつ…私と梓紗はきっと同じことを思っただろう。
「何よあんた誰…」
「あ、梓紗ぁ〜せっかく話しかけてくれたんだから、ね?」
早速毒舌を披露するところだった梓紗の言葉を遮り、私がフォローする。
「えっとこの子が萩原 梓紗で、私が藤崎美桜です」
「梓紗ちゃんと美桜ちゃんか!かわいい名前だね」
「はぁ?意味わかんないし」
梓紗だめだってばー!
そんなこと言ったら失礼じゃない!
「あははそうだよねー、あじゃあさ、中学どこだった?」
相島くんもなかなかめげない。
ただのチャラ男じゃないみたい…
「質問ばっかね」
「あ梓紗〜」
ストップストップ!
「…西中よ」
って、あれ?
あんなことを言っておきながら、答えたのは梓紗だった。
「そっか西中かー、俺南中!案外近かったんだね」
相島くんは梓紗に相手にしてもらえて嬉しかったのか、心做しかニヤニヤしているようだった。
「っと、チャイムなりそうだな…俺友達んとこ戻るわ!また後でな2人とも」
「あ、うん」
そう言って突然来て突然いなくなった相島くん。
丁度友達がいたのか、
「おお!お前もB組かー」
なんて言ってるのが聞こえてきたけど、その相手がなんて言ったのかはよくわからなかった。
「何だったのあいつ」
梓紗が溜息混じりにそう言って椅子に座りなおす。
(ほんとなんだったんだろう)
ああいう人って元気過ぎて逆に疲れちゃうんだよね…
「あ」
教室に設備されている時計を見ると午前8時27分を指していた。
もう既に梓紗の隣の席の人は来ていて、静かに本を読んでいる。
どうやら梓紗好みの静かな女の子だったよう。
だけど…
私の隣はまだ空席だった。
全くいつくるんだか…
教室の内の席は、ここを抜いて全部カバンがかかって埋まっているのに。


