水族館に入ってすぐのところにいる、わたしたちを待っているようにゆっくりと泳ぐ大きな魚。
名前は………なんだったっけ。
サメの一種だった気がする。
大きな魚を見て、わたしは目を輝かせて、
『焼いて塩をかけたら美味しそう』
ついそう呟いてしまった。
隣にいた貴方が可笑しそうに笑っていて、わたしは声に出していたことに気づいて顔を赤くした。
『妹と同じこと言うんだな』
『え?』
『やっぱり姉妹だな』
わたしと妹は見た目は似ているけど、中身は正反対だった。
物静かで感情表現が苦手な妹は、親によく『しっかりしなさい』と怒られていたっけ。
わたしと妹を知っている人なら、『やっぱり姉妹だな』なんて言わない。
だからこそ。
貴方にそう言われて、泣きたくなるくらい嬉しかった。



