だから、せめて。


最後くらいは、貴方の言葉で聞かせてよ。



噂でも、人づてでもなくて。


嘘でも偽りでもいいから。



――「愛してる」って、言ってよ。




そんなわたしの想いは、儚く散って。


喉元にナイフの先端が触れて、反射的に目を瞑る。



ポタッ、と床に落ちたのは、血ではなく涙だった。



瞼を上げると、貴方は泣いていた。


流れていく貴方の涙は、妹を想ってのものなのか、わたしを想ってのものなのか、わからなかった。



暗い部屋の中、わたしは再び目を閉じる。


貴方と一緒にいられて、幸せだった。


ありがとう。そして、さよなら。



喉に、今まで感じたことのない痛みが襲う。



あなたの罪が、わたしの罪と絡み合って、わたしの心を重くした。




<END>