「はい、付き合います。お願いします」


「やったー! ものすごく嬉しくて涙が出そう」


「またまた大げさですよ」


「それだけ幸せなんだよ」


沙弓がいう「大げさ」は照れ隠しのための言葉。照れる沙弓が本当にかわいく見えた。


食べ終わって、食器を洗う沙弓を拓人は後ろからそわそわしながら見ていた。


「そんなふうに見られると困ります」


「だってさー、我慢できないんだよ。ねえねえ、今日泊まる?」


拓人は嬉しくてたまらなかった。だから、沙弓に触れたくてたまらなかった。


「誠実に抱いてくれるなら泊まります」


「もちろん!」


我慢が限界だった拓人は、後ろから沙弓を抱きしめた。沙弓は拓人のほうに顔を向けて、二人はキスをした。

多分抱き方も抱かれ方も一度目と大差はない。けれど、そこに気持ちがあるから、二度目は感じ方が違った。

拓人は沙弓をいとおしく感じ、何度も「好き」だと声に出し、抱きしめた。沙弓も拓人をいとおしく感じて、何度も抱きついた。