何を着ようかとクローゼットを開けて、そういえばどこに行くんだろうと考えた。場所によって、服装も変わる。だけど、わざわざ拓人に聞くのもどうかと思い、無難な服装にした。


「パンツ姿、初めて見たけど、似合うねー」


沙弓はふんわりした白のトップスにスキニージーンズを合わせて、肌寒さを感じたとき用にカーディガンを持参した。

オフィスでジーンズを履くことはまずないので、拓人には初めて見る服装で新鮮だった。


「しかしさー、お揃いっぽくない?」


「えっ? いえ、ありがちな服装なだけですよ」


拓人は、Vネックの白のTシャツにジーンズだった。同じジーンズだけでなくトップスも同じ白だからお揃いコーデにも見える。

沙弓はコンビニにいた拓人を見たときにかぶっている……と思ったが、敢えて触れないようにしようと思った。


「好みが合うようで嬉しいなー」


「別に……」


沙弓には嬉しいことではなく、イヤなことだった。お揃いに見えてしまう服装では誤解されてしまうかもしれないからだ。

目的地までのドライブは憂鬱なものだった。