二度目は誠実に

拓人は歩きながら、明日の夜のことを考える。どこかレストランを予約しておこうか。沙弓の苦手な食べ物を思い出す。

確か……しいたけが苦手とか言ってた。きのこ全般ダメなのかな?

一応聞いてみるか。

悩んだり、分からなかったりしたら、まず聞くに限る。拓人はいつまでもくよくよと悩むのは嫌いなので、早く結論は出したいと思う。


「谷ー」


「えっ、うわっ! ビックリした。人事に行ったんじゃなかったんですか?」


「うん、ちょっとパソコン取りに来ただけ。それよりも、谷の苦手なものってさー、しいたけだったよね? 他のきのこもダメで食べれない?」


「いえ、好んで食べるほどではないですけど、しいたけ以外は食べれます」


「なるほど。イタリアンでいい?」


拓人はイタリアンレストランが一番無難だと思った。ワインを飲みながらでも話せば、沙弓の本音が聞けるかもしれない。

始まりはいい形ではないけど、ここから始めてみてもいいのではないかと、もう一度提案するつもりでいる。