二度目は誠実に

「お待たせしましたー」


人事部にはデスクが三つしかない。つまり人事部は三人で稼働する予定である。

拓人の向かいのデスクにはまだパソコンも置かれていなく、きれいな状態となっている。


「しかし、要さんが公私混同するなんて思いもしなかったなー。彼女、配属先が人事部と聞いたらビックリするでしょうね」


「いちいちうるさい。それ、誰にも言うなよ」


「はいはい、分かってますよ。真面目そうな子だから、しっかりやってくれるといいですね」


まだ誰も座っていないデスクには新入社員が配属される予定となっていた。拓人が言うように、要の独断と偏見で選ばれた女子社員が来るのである。


「ところで、去年使ったパワーポイントは拓人のフォルダに入ってる?」


「いえ、総務部の人事部門の共有フォルダに入ってます」


「そうか。その人事部門のフォルダ、全部人事部の共有フォルダにうつしておいて」


「了解です! じゃ、早速やっちゃいますね」


拓人はパソコンの電源を入れてから、総務部へ戻る。