✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


「ねえ玖玲菜、『ハミガキ』って知ってる?」

全ては、この、親友のせをはの一言から始まったんだ。

「はぁ?歯磨きなんて、いつもするじゃん」

あたしはグリーンティをかき混ぜながら、そう答えた。

「違うって!《歯磨き》じゃなくて、《吐磨き》」

なにそれ。吐磨きなんて、気持ち悪い。意味もよく分からないし...。

「なに?吐磨きって。」
「フフフ。よくぞ聞いてくれたな!
...いま、女子高生の中で流行ってるんだけど...」

そう言うと、せをは は、話し始めた。

そのとき、せをは の声が、急に小さくなった気がした。

「まぁ、ただの都市伝説だろうけど。
まず、いつも使ってる歯ブラシ...最低3ヶ月以上使ってる歯ブラシに、『ジュパジュパジュパジュパ、イツモツカッテヤッテルカンシャシロ』って、呪文を噛まずに3回、唱えるの。そこで噛んだら、やり直しだからね。

そしたら、その歯ブラシには悪魔が宿るの。それでその歯ブラシを、また3ヶ月以上使い続ける。

そしたらまた一匹、悪魔が宿るんだよ。それを繰り返していって、5匹悪魔を宿らせると、もう後戻りはできない。

その歯ブラシには大悪魔が宿って、その人の口をグチョグチョに...血だらけになるまで歯磨きをさせ続けるの。

で、もう喋れないくらいになったら...その歯ブラシは、その人の喉に侵入してくる。

そして、どれだけ吐いても歯ブラシのスピードは止まらず、最後は喉を貫通して死ぬんだって...」